乳歯の歯並びについて
かわいいお子様の乳歯の歯並びが悪いと、どうしても気になってしまいますよね。その疑問に歯医者さんに、ズバリお答えしていただきました!
1、子供の乳歯の歯並びが悪いように思います。どういう生え方だったら良くないなど教えてください。
乳歯が斜めに生えている場合
乳歯が、生える途中に斜めに生えていると慌てることがありますが、それは、生える途中のことで、生えきった歯はまっすぐになるものです。もしいつまでもまっすぐに生えてこなかったら、それは歯茎の中の過剰歯が原因していることもあります。歯医者さんに行ってレントゲンを撮ってもらった方がいいかもしれません。
また、歯列(歯並びのアーチ)に対して、斜めになっていることがありますが、
永久歯には、影響しません。
しかしもしご心配であれば歯医者さんに相談してみても良いと思います。
乳歯がすきっ歯に生えている場合
すきっ歯に生えていることは正常です。
永久歯は乳歯よりも大きく、本数も多いです。
もし、すきっ歯でなかったら、永久歯が生えてくるスペースが不足し、永久歯の歯並びが悪いことになります。ですから、お子様の歯がすきっ歯に見えるときは、安心してください。
乳歯がガタガタに生えている場合
先ほどの「すきっ歯」の逆です。顎が小さく、歯が大きいため、きちんと並ぶことができず、ガタガタに生えているように見える場合です。多くは、顎が小さいことが原因しています。ですが顎の発育のピークは、個人差がありますが思春期頃12才から18才の間です。乳歯が生えている幼児期に、顎の発育のピークは来ていません。
また、矯正は、長期になり、この乳歯の時期に矯正装置をお子様の口の中に入れても、お子様の理解が得られず、はずされたり、壊されたりで、矯正ができるものではありません。「将来、永久歯がガタガタになるかもな」ぐらいに思っておいて、思春期の頃になったら歯医者さんにご相談され、歯の矯正が必要になるなら、矯正していくのが、矯正期間が短く、経済的です。
2、そもそもなぜ乳歯の歯並びは悪くなるのでしょうか
乳歯の生えている期間は幼児期です。顎の発育も成長途中で、歯の数が顎のスペースに対して多すぎたり、少なすぎたりしていることが、原因です。しかしこれは正常発育です。歯科の教科書には正常発育に「みにくいあひるの子時代」があるとも書かれています。どの子供も、どの大人も、歯並びが悪く見える。そういう見た目が悪い時代を過ごしてきていると言えます。また、3,4歳のころは、そんなにおかしくなかったけど、小学校に上がるころ、急に顎が成長してきて、すきっぱに見えたり、前歯が永久歯に生え変わるときに、なかなか生え変わらず、歯並びが悪く見えることがあります。心配はないのですが、どうしても心配なら歯医者さんに相談しましょう。
3、乳歯の歯並びを良くするために自宅でできることを教えてください。
左右の差がなく顎を発育させることです。
食べるときにずっと右ばかりで噛む、またはその逆で左だけで噛むことがあります。そうすると、顎の発育に左右差が出てしまい、左右のバランスの悪い歯並びになってしまいます。頬杖をつくことも、上記の左右差を生じてしまいます。また、歯並びは、唇の力も影響しています。日頃から口を開けっ放しにしていたり、口呼吸の癖があると、唇からの力が得られなくなり、前歯は外へ外への成長し、出っ歯になってしまいます。
また時々、舌を前に突き出す癖があり、それが前歯の歯並びに影響することもあります。顎の発育と、癖には気を付ける必要はあります。
このように、
- 左右どちらも均等に噛む
- 頬杖をつかない
- 口呼吸を止めて唇を閉じる
ように気をつけましょう。
4、乳歯の歯並びを良くするために歯科医院でできることを教えてください。
乳歯の時期の歯並びは、永久歯の歯並びに影響するとは、必ずしも言えません。永久歯の歯並びのためには、歯科医院は一生懸命に治療しますが、乳歯の歯並びのために治療をすることは、ほとんどないと言っていいでしょう。だからと言って乳歯は不要なものではありません。乳歯は永久歯のために大切な顎発育を、よく噛むことでやってくれるからです。よって歯科医院でこの時期にできることは、よく噛めるように虫歯の治療や予防をすることです。
矯正はすべき?
乳歯の矯正は、前述しましたように、お子様が小さいので難しいです。それに顎の発育が矯正には大きく影響します。顎の発育の大きな時期、つまり思春期ごろに行うのが一番効果的といえます。
5、乳歯の歯並びが悪いと永久歯にどのような影響を与えますか
あまり影響はありません。
ただ永久歯のための顎の発育のために、乳歯時代にはしっかり噛んでもらわないといけませんから、乳歯の歯並びを気にするよりは、乳歯の健全保持を。つまり虫歯になって、よく噛めず、結果顎の発育が悪くなり、永久歯の生えてくるスペースがなくなり、永久歯の歯並びが悪くなることは考えられます。
虫歯にならないように。虫歯になったとしても治療に行くようにしましょう。
6、乳歯の歯並びが良いとはどのような並び方ですか?
歯と歯の間のスペースが十分にあり、乳歯よりも大きな永久歯が生えてきても大丈夫な状態のことです。成長過程で顎はドンドン発育し、隙間は広がって来ているようにも見えますが、この状態が乳歯の歯並びが良いと言えます。また、乳歯が永久歯に生えかわる時期には、乳歯が摩耗している状態が見られますが、これは永久歯のために乳歯が沢山仕事をした証ともいえます。乳歯でよく噛むことが顎の発達に重要だからです。
7、乳歯の歯並びは遺伝で決まるのでしょうか?
両親の歯並びを見て、子供の歯並びが悪くなることが考えられることもあります。患者さんが親子で来られた時に「私のが悪いから。子供もそうなるのでは」といった相談も多くあります。遺伝的要素はありますが、決まるとは言い切れません。顎の発育はどれだけ固いものを食べたか、どれくらいの頻度で食べたかなどの食習慣。虫歯にならずにどれだけ乳歯の役割を果たしていたかの予防歯科的要因も重要です。
乳歯の歯並びについて まとめ
最後に、乳歯の歯並びについて重要な点をおさらいしておきましょう。
- 乳歯の歯並びは永久歯の歯並びにはあまり影響しない
- 乳歯が生える途中は斜めになっているのが正常
- すきっ歯は正常
- がたがたに生えている場合は顎の小ささが原因だが、まだ顎の成長は途中段階なのでそこまで心配は要らない
- 乳歯の歯並びをよくするためには、左右の差なく顎を成長させるのが肝
乳歯の歯並びをあまり心配する必要はないことをご理解いただけましたか。それでもご心配なら、お近くの歯医者さんにご相談されてもよいかもしれません。歯医者さんは、いつでも相談にのりますよ。
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