そもそもどうして唇は乾燥しやすいの??
唇は体の外に出ている部分ですので、唇は皮膚の一部だと思っている人もいるかもしれません。しかし、唇は消化管や口の中まで続く粘膜が外に出てきている部分なのです。
唇は皮膚ではないのです。
<皮膚の保湿>
皮膚の表面には角質層というものがあります。角質層は「角質細胞」と「角質細胞間脂質」の2つで成り立っており、角質細胞内にあるNMFという保湿成分と角質細胞間脂質によって角質内の潤いを保っています。それに皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗の混ざり合った「皮脂膜」のコーティングが加わります。皮脂膜は角質層の表面を弱酸性に保って、さまざまな刺激や細菌、ウイルスなどから肌を防御するバリア機能の働きもしています。
<唇の保湿>
それに対して唇の表面には非常に薄い角質しか存在しないため、水分の保持力やバリア機能がほとんどありません。また、皮脂腺や汗腺も存在せず、コーティングしてくれる皮脂膜もないため非常に乾燥しやすく、荒れやすいのです。つまり、唇はさまざまな刺激に対して弱く、デリケートなものなのです。
それでは唇が乾燥してしまう原因にはどのようなものがあるのか、見てみましょう。
唇が乾燥してしまう原因
1.空気が乾燥している
空気の乾燥する冬は肌や唇はどうしても乾燥しがちです。
2.唇を舐める癖がある
唇が乾くと気になって舐めてしまうものですが、舐めても一時的にしか潤わず、しかも内側の水分と一緒に蒸発してしまうので、舐めると余計に乾いてしまうのです。
3.口呼吸をしている
本来鼻で行うべき呼吸を口で行っていると口が乾燥し、唇も同時に乾燥してしまいます。口呼吸になる原因としては、鼻づまり、癖、歯並びなどが考えられますが、常に口呼吸をしている人は唇が厚くなり常に乾いた状態となりがちです。
4.紫外線でダメージを受けている
紫外線は肌だけでなく、唇にもダメージを与えます。日焼け止めクリームを顔に塗る人は多いですが、唇は忘れがちです。
5.脱水症状を起こしている
体内の水分が少なくなると唇が乾いてきます。とくに高熱が出ている時などは唇が乾き、脱水症状のサインとなります。
6リップクリーム・化粧品によるかぶれ
口紅や唇の保湿のために良かれと思って使っているリップクリームが肌に合わず、唇を荒れさせ、乾燥させてしまうことがあります。また、口紅を落とす際に唇を強くこすることでダメージを与えて乾燥させてしまうこともあります。
7.バランスの悪い食事
バランスのとれていない食事をしているとビタミンB群が欠乏することにより、口角炎(口の端の部分が切れたりする症状)を起こしたり、剥離性口唇炎を起こすことがあります。
8.アトピー
アトピー性口唇炎といって、アレルギーを起こしやすい人が、ダニ、花粉、動物の毛、カビなどでアレルギー反応を起こして唇が乾燥して切れたりすることがあります。
9.老化現象
人間の体は加齢により、体内の水分量が減っていきます。そのため、肌が乾燥しがちになり、唇も例外でなく乾燥しやすくなります。
唇が乾燥してしまった際の対処法
唇にダメージを与えない
<唇を舐めない>
唇を舐めれば舐めるほど乾燥します。やりすぎるとひどくなって口唇炎になってしまうこともありますので注意が必要です。
<唇を噛む癖をやめる>
下唇を上の歯で噛む癖があると唇が荒れてしまいます。子供に多い癖で、続けていると歯並びが悪くなってしまうこともありますのですぐにやめさせましょう。
<口呼吸をやめる>
鼻炎が原因で口呼吸になっている場合には鼻の治療が必要です。歯並びが悪くて口が閉められない場合、矯正治療も考慮に入れたほうが良いでしょう。癖で口呼吸になっている場合にはなるべく唇を閉じるように心がけ、鼻呼吸にする努力をしましょう。
<日焼け止め対策をする>
紫外線の強い季節は日焼け止めクリームを唇にも塗って、唇を紫外線から保護することをお勧めします。
唇に潤いを与える
<リップクリームをつける>
リップクリームは保湿するうえで最も手っ取り早い手段です。こまめに塗って乾燥を予防しましょう。ただし、なかなか良くならない場合には医薬品のリップクリームを使ってみることをお勧めします。
<ワセリンをつける >
刺激の少ない純度の高いワセリンをリップクリーム代わりに使ってみるのもお勧めです。ワセリンには高い保湿効果があるため、とても効果的です。
<加湿器をつける>
冬場は部屋の中も暖房器具の影響でとくに乾燥しがちです。加湿器をつけるなどして部屋の中が乾きすぎないようにしましょう。
<マスクをつける>
マスクは水分を逃さないので、吐息によって自分の口の中、唇を保湿することができます。唇の乾燥対策、また感染症対策としても、眠っている間、外出中にマスクをつけることはとても効果的です。
体の内部からのケアー
<水分を十分に補給する>
体が水分不足にならないよう、水分をきちんと取ることも大事です。とくに運動をしない時でも1日1.5リットルの水分を補給するのが理想的とされています。この場合の水分は、常温の水か白湯がよいでしょう。お茶は利尿作用があるため、あまり水分補給の手段としては適していません。また、熱が出た際にはイオン飲料も効果的ですが、糖分が多く含まれ、虫歯のリスクが高くなるため、熱がある時、汗を多くかいた時などにとどめ、普段は普通の水が一番お勧めです。
<バランスの取れた食事をする>
バランスの取れた食事をすることでビタミンB群も自ずと摂取できるでしょう。肌の荒れを防ぐ食品としては、卵、納豆、レバー、うなぎなどがあります。サプリメントでビタミンB群を取るのもよいでしょう。
唇が乾燥する際に、考えられる病気は?
口唇炎・口角炎
唇表面の水分が不足し、バリア機能が失われて荒れてしまう状態です。空気が乾燥する冬によく見られます。一度炎症を起こすと、それまで大丈夫だったリップクリームや口紅、食べ物などでかぶれてしまうことがあり(接触性口唇炎)、保湿のために塗ったリップクリームで悪化してしまうことがあります。口の周囲に小さな水疱ができることもあり、ヘルペスと勘違いされることも少なくありません。
<口唇炎の原因>
口唇炎の中には舌なめずりを頻繁にすることによって起こる舌なめ皮膚炎や、ダニや花粉動物の毛などにアレルギー反応を起こすことによって起こるアトピー性口唇炎、ビタミンB群の不足によって引き起こされる、唇の皮がボロボロめくれて剥がれてしまう剥離性口唇炎などがあります。
カンジダ性口角炎
口の中が乾燥しやすい高齢者に多く、口角炎に見た目が似ていますが、これは常在菌であるカンジダ菌が異常繁殖することで起こります。口角炎と思って、ステロイドの軟膏を塗っていたりすると、良くなるどころかひどくなることがあります。
糖尿病
糖尿病で高血糖状態が続くと、その状態を薄めようと、体が水分を欲して水を大量に摂取するようになります。しかし排出される尿の量が多く、脱水状態になってしまうことがあります。そのため、唇も乾いてしまうことになります。
オススメのリップクリームや、つけ方のコツはある?
市販ではなく、医薬品がオススメ
リップクリームは唇の乾燥に効果的なことも多いですが、改善しない場合には市販のものでなく、「医薬品」のものを使ってみることをお勧めします。ユースキン「メディリップ」や資生堂「モアリップ」などがあります。また、リップクリーム代わりに純度の高いワセリンを塗るのも効果的です。
縦に塗ることがオススメ
リップクリームの塗り方は、ほとんどの人が横に滑らせて塗っていると思いますが、実はこのやり方では唇の縦シワに入りにくく、効果が十分に発揮されません。効果的な塗り方は縦のシワに合わせて、縦に塗ることです。シワに擦り込むように塗ってみましょう。
まとめ 唇の乾燥
最後に、唇の乾燥について重要な点をおさらいしておきましょう。
<原因>
- 空気の乾燥
- 唇を舐める癖
- 口呼吸
- 紫外線
- 脱水症状
- リップクリーム・化粧品によるかぶれ
- バランスの悪い食事
- アトピー
- 老化現象
<対処法>
- 唇にダメージを与えない
- 唇に潤いを与える
- 体の内部からケアーする
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